劇作家の西田豊子の「ヨーグルトをさがせ!」レポートNo.6です!
◆もう一つの試練「通りゃんせ」
感動のプレビュー初演から、まさかの低迷への原因は・・・!?
この日、2回の公演とプロデューサーミーティングの後、私達は作家ミーティングを持ち話し合いました。が実はもう一つ、私達には大きな問題がありました。
4月のソウルリハーサルで韓国の作家ミジョンから、開幕時ミュージシャンが日本語で歌う「通りゃんせ」は、韓国の観客に違和感があり脚本上もなじまないと問題提起があったのです。新曲を準備するには時間的な余裕がなく、英国公演は「通りゃんせ」で仕上げ、それを見て結論を出すことになっていました。
◆時間切れまで議論を尽くし
しかし、音楽の構造上「通りゃんせ」は欠かせないので韓国公演は歌詞を韓国語にと言う作曲家提案と、作家側の、日英韓のどの国にも属さないミュージシャンと言う脚本上の設定は平行線のまま。ピーターが、7月の韓国公演までに新曲を準備して欲しいが、不可能なら作曲家提案を受け入れるとまとめて時間切れ。引き続く夕食会でも隙間を見付けて話し合いを続け、ついに作曲家から、「通りゃんせ」にこだわらない第三の提案が出て、解決策を見出しました。

「アカ」(叶雄大)はモンスター退治と大好きだった木を
◆深夜ミーティングと早朝稽古!
そんな次第で、俳優達へは「良きエネルギーで三人のコミュニケーションを!」と、やや総論的なアドバイスで翌日を迎えました。前日の低迷を痛い程感じていた彼らは気持ちを引き締め、再び舞台に良きエネルギーが戻り初めました。
しかし、5月末までのREP公演と6月第1週のレスター演劇祭へ、20ステージもの公演が続きます。終演後作家達で根本的な解決策を模索、夜食に招いていた俳優達とも深夜まで話し合って、翌朝早朝リハーサル決行となりました。

「ノーラン」(パク・ヨンジュ)は迷子の子ネコヨーグルトを
◆ふたたび笑いと感動が
作戦はシンプルでした。それまで私達は、突如挿入されるファンタジーシーンの「ブラジル」をクリヤーにすべく、対策を講じていました。が、問題はそれ以前、工事現場で出会った3人が初めて「地図」=「チド」=「Map」と3つの言葉を理解して始まる冒険シーン。3人が打ち解けた途端、一人一人の「目的」と「緊張関係」=根本のドラマが、薄れてしまっていたのです。
「アカ」は「大好きだった大きな木」。「ノーラン」は「子ネコのヨーグルト」。孤独な「ブルー」は「人との関係性」。俳優達が改めて3人の「こころの旅」を胸に刻んだ時、舞台に劇的な緊張感と、観客と共に笑い感動する呼吸が蘇りました。舞台は生き物。一回一回成長し続けていくものと、痛感しました。

「ブルー」(ダニエル・ナダフィ)は孤独=ともだちを
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Toyoko,NISHIDA
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