2009年5月14日木曜日

「ヨーグルトをさがせ!」英国レポートその2

日英韓共同制作「ヨーグルトをさがせ!~Looking For Yoghurt〜」は、4月の韓国・ソウルリハーサルを経て、ただ今英国バーミンガムレパートリーシアター(愛称REP)にて総仕上げの段階に突入。いよ いよ今週末5月15日(金)には 、”THE DOOR” で初演の幕を開けます。劇作家として参加している西田豊子の、バーミンガムレポートその2をお届けします。

◆テクニカルリハーサル快調!   
今日5月12日は、朝から“The Door”で、テクニカルリのハーサル第一日。
進行は照明&音響デザイナーのサイモン、ステージマネージャーのルース、そして演出のピーターです。
日本では多くの場合、劇場や機材の使用料が高いこともあり、短時間に仕込み・テクリハ・ゲネプロまで仕上げねばなりません。が、“the door”はバーミンガムREPの「自前の劇場」、そして「自前の専門スタッフ」。しかも、本番10日前からセットを組んでリハーサルをしてきただけに、何だかとても余裕の雰囲気
なのです。
女性の舞台監督ルースさんが、場面の転換や照明・音響のQごとに「Stand by please,thank you!」と合図を出しますが、その声がおっとりと優しく、おまけに「thank you」ですから、私はそのたびに密かに和んでしまう程なのです。
テクリハは、照明・音響と背景幕のシルエットで見せる「マシーンモンスター」や、クライマックスの「ブラジル」、そしてエンディングまで、予想外の早さで順調に進みました。幕開きから間もなく、「あか」役の叶雄大が工事現場のフェンスを倒すシーンも、金具の改良で無事クリヤー。「これなら大丈夫!」と、雄大が胸をなで下ろし、私も安堵です。

◆ピーターの目にも涙!
昨日5月11日は“The Door”で仕込みのため、二階のリハーサルルームでランスルー(通し稽古)。先月、ソウルのプレビュー前に帰国した私は、久々にみるラン(通し)。
帰国前、ピーター&韓国の劇作家ミジョンと3人で議論した「スリム&シェイプアップ作戦」が功を奏し、なかなかに良い仕上がり。その勢いで「最後の楽しみ」にとっておいたエンディングシーンまで、ついに、完成です。
輪になって、俳優達とともに話しあっていた時のこと。劇の終盤近く、「あか」「ノーラン」「ブルー」の3人が、それぞれの国の言葉で「友だち」と言うシーンがあるのですが、「このような場面が生まれることを作家達も初めから予測してはいなかった。まさに、俳優達と共に発見を重ね、今、そこにたどり着いた・・・」
とピーターが感慨を込めて言いました。
すると、ノーラン役の韓国の女優ヨンジュが「おお、ピーター・・・!」とつぶやきました。何とピーターの目に涙が・・・。

◆アート・ジャーナリストのインタビュー!
この日、ピーター・ミジョン・私の3人は、「バーミンガム・プレス」のアート・ジャーナリストのインタビューを受けました。ピーターの涙は、3人の最初の出会いから、2年にわたる創作活動に思いを巡らせたせいかも知れません。私達の、たぐい稀なほど深い信頼に結ばれた共同の作業も、いよいよ英国初演を迎え、7月のソウル・東京初演から8月の沖縄へと、最後の仕上げの時期。明日もたゆまず前進!です。

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Toyoko,NISHIDA


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ピーター・ウィルソン(イギリス/脚本・演出)による作品ブログはコチラ→http://hanyongtheatre.blogspot.com/(英語のみ)

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2009年夏!アートインAsibinaでは、「紙のおとぎばなし」公演も行います!
「紙のおとぎばなし」公演情報は、特設ページ→http://www.asibina.com/paper/
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※「ヨーグルトをさがせ!」特設ページも、現在作成中です。