2009年5月28日木曜日

二つの大きな「試練」をへて・・・

劇作家の西田豊子の「ヨーグルトをさがせ!」レポートNo.6です!

◆もう一つの試練「通りゃんせ」
感動のプレビュー初演から、まさかの低迷への原因は・・・!?
この日、2回の公演とプロデューサーミーティングの後、私達は作家ミーティングを持ち話し合いました。が実はもう一つ、私達には大きな問題がありました。
4月のソウルリハーサルで韓国の作家ミジョンから、開幕時ミュージシャンが日本語で歌う「通りゃんせ」は、韓国の観客に違和感があり脚本上もなじまないと問題提起があったのです。新曲を準備するには時間的な余裕がなく、英国公演は「通りゃんせ」で仕上げ、それを見て結論を出すことになっていました。

◆時間切れまで議論を尽くし
しかし、音楽の構造上「通りゃんせ」は欠かせないので韓国公演は歌詞を韓国語にと言う作曲家提案と、作家側の、日英韓のどの国にも属さないミュージシャンと言う脚本上の設定は平行線のまま。ピーターが、7月の韓国公演までに新曲を準備して欲しいが、不可能なら作曲家提案を受け入れるとまとめて時間切れ。引き続く夕食会でも隙間を見付けて話し合いを続け、ついに作曲家から、「通りゃんせ」にこだわらない第三の提案が出て、解決策を見出しました。


「アカ」(叶雄大)はモンスター退治と大好きだった木を

◆深夜ミーティングと早朝稽古!
そんな次第で、俳優達へは「良きエネルギーで三人のコミュニケーションを!」と、やや総論的なアドバイスで翌日を迎えました。前日の低迷を痛い程感じていた彼らは気持ちを引き締め、再び舞台に良きエネルギーが戻り初めました。
しかし、5月末までのREP公演と6月第1週のレスター演劇祭へ、20ステージもの公演が続きます。終演後作家達で根本的な解決策を模索、夜食に招いていた俳優達とも深夜まで話し合って、翌朝早朝リハーサル決行となりました。


「ノーラン」(パク・ヨンジュ)は迷子の子ネコヨーグルトを

◆ふたたび笑いと感動が
作戦はシンプルでした。それまで私達は、突如挿入されるファンタジーシーンの「ブラジル」をクリヤーにすべく、対策を講じていました。が、問題はそれ以前、工事現場で出会った3人が初めて「地図」=「チド」=「Map」と3つの言葉を理解して始まる冒険シーン。3人が打ち解けた途端、一人一人の「目的」と「緊張関係」=根本のドラマが、薄れてしまっていたのです。
「アカ」は「大好きだった大きな木」。「ノーラン」は「子ネコのヨーグルト」。孤独な「ブルー」は「人との関係性」。俳優達が改めて3人の「こころの旅」を胸に刻んだ時、舞台に劇的な緊張感と、観客と共に笑い感動する呼吸が蘇りました。舞台は生き物。一回一回成長し続けていくものと、痛感しました。


「ブルー」(ダニエル・ナダフィ)は孤独=ともだちを

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Toyoko,NISHIDA


「ヨーグルトをさがせ!」特設ページはコチラ!
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ピーター・ウィルソン(イギリス/脚本・演出)による作品ブログはコチラ→http://hanyongtheatre.blogspot.com/(英語のみ)

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2009年夏!アートインAsibinaでは、「紙のおとぎばなし」公演も行います!
「紙のおとぎばなし」公演情報は、特設ページ→http://www.asibina.com/paper/
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2009年5月26日火曜日

バーミンガム・ポスト紙に巨大記事掲載!


3カ国の劇作・演出家。左から、キム・ミジョン(韓国)/西田豊子(日本)/ピーター・ウィニー・ウィルソン(イギリス)

5月12日イギリス バーミンガムにて、3カ国の劇作・演出家が「バーミンガム・プレス」のアート・ジャーナリストからインタビューを受け、日本・イギリス・韓国の共同制作企画としてタブロイド紙2ページに亘って掲載されました!!

バーミンガム・ポスト紙「Birminghampost.net」掲載記事原文(2009年5月21日英国時間)
http://www.birminghampost.net/life-leisure-birmingham-guide/birmingham-culture/theatre-in-birmingham/2009/05/21/looking-for-yoghurt-at-the-door-birmingham-repertory-theatre-65233-23682990/

上記ウェブサイトの翻訳は下記↓
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「Looking for Yoghurt!」バーミンガムレパートリーシアター“The Door”にて上演!
このプロジェクトはバーミンガムレパートリーシアターと韓国、日本のプロダクションによるユニークなコラボレーションによって生み出された作品である。

3カ国の劇作・演出家と俳優が、絶え間なく通訳が飛び交う稽古場で、ディバイジングによる創作が行われた。登場する3人のキャラクターも、共通する言語を持たないという設定で物語は進められる。

舞台は世界のどこかにある大都市。ノーラン(パク・ヨンジュ)が迷子の子ネコを探して工事現場に入って行くところから物語は始まる。彼女はそこで2人の少年、アカ(叶雄大)とブルー(ダニエル・ナダフィ)と出会う。はじめはお互いに警戒する3人だが、互いに遊び助け合うことですぐに協力し、さまざまな不安を乗り越えて行く。
パーカッショニストの開発彩子も加わり、次第に舞台はセリフよりも、リズムやムーブメントにが中心となって行く。また、各国の観客にとっては、理解できる言語がそれぞれ1つあるので、舞台で何が起きているかを容易に理解することができる。
劇作家のキム・ミジョン、西田豊子、ピーター・ウィニー・ウィルソンは、子どもたちの持つ生きる知恵と互いに助け合う力への敬意と賛美の念をこめている。また、限られた条件の中でも遊びを通して学ぶことの大切さも描かれている。観客は、この物語が工事現場が良い遊び場である!と言っているなどとは思わないであろうが、3人のキャラクターは重い機材を操り、クレーンに上るという冒険までするのである。

「Looking for Yoghurt!」は非常に繊細な魅力を持った作品である。その創造活動に費やされてきた3カ国での多大な努力を鑑みれば、あまりにもささやかな作品と言えるかもしれない。しかし今の段階で重要なのは、目的地ではなく旅そのものなのだ。

5月30日までバーミンガムレパートリーシアター“The Door”にて上演。6月2日~4日にレスターの“Spark Children’s Festival”にて上演される。
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記事.Terry Grimley(The Birmingham Post's arts editor)/訳文.舟川絢子・城田龍生

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Tatsuo,SHIROTA

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「ヨーグルトをさがせ!」特設ページはコチラ!
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2009年夏!アートインAsibinaでは、「紙のおとぎばなし」公演も行います!
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2009年5月23日土曜日

大きな「試練」を経て・・・本物の「初日」へ

劇作家の西田豊子の「ヨーグルトをさがせ!」レポートNo.5です!

◆さよならバーミンガム!
英国時間の5月22日早朝、日英韓共同制作の日本側プロデューサー下山久とバーミンガム空港を発ち、チューリッヒ経由で帰国の途に着きました。
私西田は5月4日にロンドン経由でバーミンガムリハーサルに参加して以来20日ぶり。4月11日からのソウルリハーサルに遡れば、ぴったり40日間にわたる「ヨーグルトをさがせ!」初演の旅、終結です。

ステージで関係者全員が初日を祝いました。

◆ツアーに向けてプロデューサー会議!
さて、下山は我がアートインAsibinaの理事でもありますが、国際的には沖縄の国際児童青少年演劇祭"キジムナーフェスタ"の総合プロデューサーとして著名です。このたびの日英韓共同制作では、英国での制作を国立バーミンガムレパートリーシアター、韓国での制作をソウル市にあるジョイフルシアター、そして日本での制作をキジムナーフェスタが担当。英国ジュディ・オーエンさん、韓国キム・ビョンホさん、そして日本の下山と、3人のプロデューサーが制作面の統括に当たってきました。世界初演でもあった英国・バーミンガム初演では、プレビュー公演後の17日に下山とビョンホさんが相次いで到着。6月から始まるツァーに向け、英国初演を仕切るジュディと3人のプロデューサー会議、バックステージのスタッフを加えてのプロダクション会議が行われました。5月30日バーミンガム公演終了後、6月1日から英国レスター演劇祭、7月にはソウルと東京、8月に沖縄巡演が控えているのです。

写真は、プロデューサーのジュディと下山。右は通訳の惠子と奈緒

◆初日に試練の大波が!
実は、前回の15,16日のプレビュー公演を「感動の世界初演」とお知らせしたあと、わが「ヨーグルトをさがせ!」は大きな試練を経験しました。5月19日午後、3人のプロデューサーやプレス関係者が初めて観劇した公式の初日が、ピーターをして「最高!」と言わしめた16日夜とは打って変わって悲惨な出来。プロデューサー達もピーターも不満と落胆を隠さず、何よりも、観客の反応が全てを語っていました。
開演直後こそ期待のこもった熱気や笑いがありましたが、徐々に広がる客席との距離を、終演まで縮めることが出来なかったのです。終演後ステージで、プレス関係者やREPの方々も含め、初日のお祝いがありました。ピーターとは「これを良き試練に」、REPの劇作家でドラマトゥーク(文芸担当)のキャサリンとは「ドラマを見極めるチャンス」と、次なる前進を誓って杯をあげました。おっと、飛行機が間もなく成田に到着です。
この試練の行方は、次回のレポートでお知らせします。

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Toyoko,NISHIDA

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「ヨーグルトをさがせ!」特設ページはコチラ!
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ピーター・ウィルソン(イギリス/脚本・演出)による作品ブログはコチラ→http://hanyongtheatre.blogspot.com/(英語のみ)

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2009年夏!アートインAsibinaでは、「紙のおとぎばなし」公演も行います!
「紙のおとぎばなし」公演情報は、特設ページ→http://www.asibina.com/paper/
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2009年5月20日水曜日

「紙のおとぎばなし」2009年7月公演情報!


アートインAsibina演劇作品「紙のおとぎばなし」2009年7月再演します。
作品の最新情報・チケット申込み・稽古場速報・コンセプトなどなどは、「紙のおとぎばなし」特設ページへ!!

◆作品紹介!!
ありふれた紙を 丸めて 折って 切って 結んで・・・?!
光と紙と物語が織りなす、アートインAsibinaの異色作??

「自分の力で大きくなろう!」と都にのぼった一寸法師。三条の宰相のお屋敷で、小さな姫の遊び相手に雇われます。しかし、やがて姫が大きく美しくなっても、一寸法師は小さいまま。
そこでついに心を決め、大きくなるための試練を求め、流れ星に乗って旅立ちます。
海を越え山を越え、舞い降りた先は、黒い森。「真の勇者を待っていた!」の声に導かれ、一寸法師は鉄の山からドラゴンの住む氷の国へ、大冒険を重ねます。
しかし、流れ星が姫の危篤を告げて・・・

◆日時
①プーク人形劇場公演
2009年7月25日14:00開演/19:00開演 26日15:00開演

②出会いのフォーラム2009参加公演
2009年7月29日(水) 14:00開演

◆場所
①プーク人形劇場
住所.東京都渋谷区代々木2-12-3/Google MAPで見る/TEL.03-3379-0234/URL.http://www.puk.jp/theatre/theater.html
JR「新宿」駅南口下車 徒歩7分
都営新宿線「新宿」駅6番出口/都営大江戸線「新宿」駅A-1出口下車 徒歩1分

②国立オリンピック記念青少年総合センター カルチャー棟B1 リハーサル室
住所.東京都渋谷区代々木神園町3-1/Google MAPで見る/TEL.03-3469-2525
小田急小田原線「参宮橋」駅下車 徒歩7分
東京メトロ千代田線「代々木公園」駅4番出口下車 徒歩8分
京王バス 新宿駅西口(16番)/渋谷駅西口(14番)より「 代々木5丁目」下車

◆チケット料金 2000円(①・②共通)
※基本的には自由席となりますが、子ども席おやこ席をご用意させていただきます。チケットお申込みの際にその旨ご連絡下さい。

◆チケット取扱い・お問い合せ
アートインAsibina
TEL.03-5338-7929/FAX.03-5338-7928/E-mail.info@asibina.com
「紙のおとぎばなし」特設ページのチケットフォームから簡単にお申込みが出来ます!

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Tatsuo,SHIROTA

2009年5月17日日曜日

「ヨーグルトをさがせ!〜Looking For Yoghurt〜」ついに英国(世界)初演の幕が開きました!

ついに5月15日(金)、「ヨーグルトをさがせ!」初演の幕が開きました。
レポートNo.4から「英国公演レポート」として、劇作家の西田豊子が引き続きホットな情報をお伝えします!


◆早くも初日からSold Out !
“世界初演”ともなる英国初演は、何度かお伝えしている通り、バーミンガムREPの小劇場スペース“The Door”で、午後1時半と夕方7時の2回公演。
1回目は小学校からやって来た7〜10才の子ども達。2回目は親子連れのお客様とREPのご招待客で、チケットは早くもSold outとのことです。

◆雄大君も最後の仕上げ!
15日は朝9時半に集合。幕開きのミュージシャン登場シーンと3人の出会いのシーンを軽くあわせ、最後のリハーサルが終了しました。そのあと、雄大君は舞台監督のルースの配慮で、通訳の山口惠子さんとスポーツマッサージに。
雄大君は、モンスター退治を目指す日本の冒険少年「アカ」役で、体操で鍛えたダイナミックな身体表現を随所で見せます。ソウル・東京と、打撲やかすり傷が絶えませんでしたが、全身リフレッシュで軽やかに本番を迎えました。

◆ステージで「Looking for Yoghrut!」
開幕30分前、スタッフ・キャストがステージに集合。演出のピーターが「昨年5月の、ソウル・東京創作ワークショップから1年、作家達には2年間の旅路を経ての初日。昼夜で全く異なるタイプの観客に出会えるのもラッキー。あとは観客の呼吸を感じて、楽しみましょう」と短く、しかし感慨深げにコメント。
全員円陣を組んで「Looking for Yohgrut!」と唱和、いよいよ開幕です。


◆初めてのステージで子ども達は!
初めてのステージ。幕開きから子ども達は、のびのび手拍子で「コール・アンド・レスポンス」に応え、雄大君演じる「アカ」の技が決まる度「おお〜!」と拍手。暗転では興奮の叫び声が劇場を揺るがす程でしたが、大事な場面では見事に集中。英国の少年「ブルー」が「アカ」と「ノーラン」の冒険に初めて参加する時は、「Catch!」と応援の声をかけ、ピーターを大感激させました。


夜の公演は満席の客席の7割がおとな。心地よい笑いと集中が、呼吸のように波のように、間断なく舞台と客席を往復。良き「初日」でありました。
終演後、REPのレストランで軽く祝杯。プロデューサーのジュディもピーターも私も「実は・・・」と、何度か涙が溢れたことを認めました。何と、作家のミジョンも、2日前に心理学ドクターを取得した通訳のイエランも、韓国の女性スタッフは全員「雄大の切り株の号泣シーンがベスト1!」と。やったね雄大君!

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Toyoko,NISHIDA

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「ヨーグルトをさがせ!」特設ページUPしました!
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ピーター・ウィルソン(イギリス/脚本・演出)による作品ブログはコチラ→http://hanyongtheatre.blogspot.com/(英語のみ)

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2009年夏!アートインAsibinaでは、「紙のおとぎばなし」公演も行います!
「紙のおとぎばなし」公演情報は、特設ページ→http://www.asibina.com/paper/
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2009年5月15日金曜日

「ヨーグルトをさがせ!」特設ページ完成!!

日本・英国・韓国による共同制作プロジェクト演劇作品「ヨーグルトをさがせ!~Looking for Yoghurt~」特設ページが完成しました!!
作品紹介・プロジェクトメンバー紹介・稽古場速報!最新情報・チケット申込みフォームなどなど、情報が盛りだくさんです!ぜひご覧頂き、7月の公演にお越し下さい!

2009年7月公演日程
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【東京公演】
◆2009年7月28日(火) 14:00開演
子どもと舞台芸術-出会いのフォーラム2009参加

◆会場
国立オリンピック記念青少年総合センター カルチャー棟B1 リハーサル室
住所.東京都渋谷区代々木神園町3-1/Google MAPで見る/TEL.03-3469-2525
小田急小田原線「参宮橋」駅下車 徒歩7分
東京メトロ千代田線「代々木公園」駅4番出口下車 徒歩8分
京王バス 新宿駅西口(16番)/渋谷駅西口(14番)より「 代々木5丁目」下車

◆チケット料金 2000円
子どもと舞台芸術-出会いのフォーラム2009参加作品です。チケットの購入は、アートインAsibinaでも受付いたしますが、出会いのフォーラム実行委員会の発行する「フォーラムパス」でもご観劇いただけます。詳しくは、出会いのフォーラム2009ホームページをご覧下さい。
基本的には自由席となりますが、子ども席・おやこ席をご用意させていただきます。チケット申込み時にその旨をお伝え下さい。

【所沢公演】
◆2009年7月30日(木) 13:00開演 終演後ロビー交流アリ

◆会場
所沢市立松井公民館 ホール
住所.所沢市上安松1286-1/Google MAPで見る/TEL.04-2994-1222
所沢駅東口 ②番バス乗り場より「西武秋津団地」下車すぐ
清瀬駅北口・志木駅南口・東所沢駅から、所沢駅東口行きバス「西武秋津団地」下車すぐ

◆チケット料金 おとな 800円/子ども 500円
基本的には自由席となりますが、子ども席・おやこ席をご用意させていただきます。チケット申込み時にその旨をお伝え下さい。

【チケット取扱い・お問い合せ】
アートインAsibina
TEL.03-5338-7929/FAX.03-5338-7928
E-mail.info@asibina.com
※チケットのお申込みは、「ヨーグルトをさがせ!」特設ページ、チケット申込みフォームより簡単にお申込み頂けます。

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Tatsuo,SHIROTA

「ヨーグルトをさがせ!」英国レポートその3

日英韓共同制作「ヨーグルトをさがせ!~Looking For Yoghurt〜」は、4月の韓国・ソウルリハーサルを経て、ただ今英国バーミンガムレパートリーシアター(愛称REP)にて総仕上げの段階に突入。いよいよ今週末5月15日(金)には 、”THE DOOR” で初演の幕を開けます。劇作家として参加している西田豊子の、バーミンガムレポートその3をお届けします。

◆劇場は、扇風機でクールダウンの熱気!
15日のプレビュー公演まで正味2日。13日は、東京から作曲家港大尋さん、そして振り付けのアイリーンも再登場。朝10時半にスタートして、音楽稽古、テクニカルリハーサル、転換シーンの作り替え、ゲネプロ、それを受けてのクリエィティブチームのミーティングで、終了はぴったり22時。熱のこもった1日でしたが、この日のThe Door は照明機材の熱と人の熱気で、さながら真夏の東京並に気温が上昇。バーミンガムは緯度が高く、日中でも気温は15度前後なのですが、劇場に扇風機が登場する暑さとなりました。


◆言葉の通じない3人が出会う時!
ここで、「ヨーグルトをさがせ」の物語をご紹介しましょう。
舞台は、とある大都市の、工事現場の夕暮れ時。一人の少女「ノーラン」(パク・ヨンジュ=韓国語で「黄色」の意味)が、迷子の子ネコ「ヨーグルト」をさがしてやって来ます。彼女は、子ネコのかすかな足跡が工事現場のフェンスの中へ続くのを発見。「危険!」の標識やモンスターのような機械音に怯えながらも、フェンスの中へ忍び込みます。そこへ、冒険好きの日本の少年「アカ」(叶 雄大)がフェンスを乗り越えて侵入、言葉が通じないながら知り合いになります。二人は更に、「秘密基地」に隠れていた英国の少年「ブルー」(ダニエル・ナダフィ)を発見。物語は、この、「言葉が通じない」3人がいかに心を通わせ、自分たちと世界の「希望」を見出して行くかを大きな軸に展開します。


◆コール・アンド・リスポンス!
そこで大きな役割を果たすのが、もう一人の出演者、日本の開発彩子さん演じるミュージシャンです。
彼女は幕開きと共に楽器を抱えてやって来て、日本のわらべうたのリズムで観客と「コール・アンド・レスポンス」で遊び、ヨーグルトを探すノーランを目撃。一部始終を見守りながら、3人の出会いや冒険を打楽器演奏でサポートする・・・という役割です。鍵になるのは、言葉が通じなくてもリズムで伝えあう「コール・アンド・レスポンス」です。

劇中では、随所に、冒頭で観客と共有したリズムがかくされています。「コール・アンド・レスポンス」こそは、作曲家港大尋さんがこの作品に仕掛けた「音楽的なたくらみ」と言う訳。15日のプレビュー公演、どんな「コール・アンド・レスポンス」が観客との間に生まれるか、今からとても楽しみです。


◆「バーミンガム・ポスト」紙に巨大な記事が!
先日のインタビューが、何と、タブロイド判の見開き2ページ、その80%を埋める巨大な記事になりました。英国ピーター、韓国ミジョン、そして不詳日本の西田の、3人の劇作家の写真入り。本文はただ今翻訳中です。お楽しみに。

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Toyoko,NISHIDA


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※「ヨーグルトをさがせ!」特設ページも、間もなく公開予定です。

2009年5月14日木曜日

「ヨーグルトをさがせ!」英国レポートその2

日英韓共同制作「ヨーグルトをさがせ!~Looking For Yoghurt〜」は、4月の韓国・ソウルリハーサルを経て、ただ今英国バーミンガムレパートリーシアター(愛称REP)にて総仕上げの段階に突入。いよ いよ今週末5月15日(金)には 、”THE DOOR” で初演の幕を開けます。劇作家として参加している西田豊子の、バーミンガムレポートその2をお届けします。

◆テクニカルリハーサル快調!   
今日5月12日は、朝から“The Door”で、テクニカルリのハーサル第一日。
進行は照明&音響デザイナーのサイモン、ステージマネージャーのルース、そして演出のピーターです。
日本では多くの場合、劇場や機材の使用料が高いこともあり、短時間に仕込み・テクリハ・ゲネプロまで仕上げねばなりません。が、“the door”はバーミンガムREPの「自前の劇場」、そして「自前の専門スタッフ」。しかも、本番10日前からセットを組んでリハーサルをしてきただけに、何だかとても余裕の雰囲気
なのです。
女性の舞台監督ルースさんが、場面の転換や照明・音響のQごとに「Stand by please,thank you!」と合図を出しますが、その声がおっとりと優しく、おまけに「thank you」ですから、私はそのたびに密かに和んでしまう程なのです。
テクリハは、照明・音響と背景幕のシルエットで見せる「マシーンモンスター」や、クライマックスの「ブラジル」、そしてエンディングまで、予想外の早さで順調に進みました。幕開きから間もなく、「あか」役の叶雄大が工事現場のフェンスを倒すシーンも、金具の改良で無事クリヤー。「これなら大丈夫!」と、雄大が胸をなで下ろし、私も安堵です。

◆ピーターの目にも涙!
昨日5月11日は“The Door”で仕込みのため、二階のリハーサルルームでランスルー(通し稽古)。先月、ソウルのプレビュー前に帰国した私は、久々にみるラン(通し)。
帰国前、ピーター&韓国の劇作家ミジョンと3人で議論した「スリム&シェイプアップ作戦」が功を奏し、なかなかに良い仕上がり。その勢いで「最後の楽しみ」にとっておいたエンディングシーンまで、ついに、完成です。
輪になって、俳優達とともに話しあっていた時のこと。劇の終盤近く、「あか」「ノーラン」「ブルー」の3人が、それぞれの国の言葉で「友だち」と言うシーンがあるのですが、「このような場面が生まれることを作家達も初めから予測してはいなかった。まさに、俳優達と共に発見を重ね、今、そこにたどり着いた・・・」
とピーターが感慨を込めて言いました。
すると、ノーラン役の韓国の女優ヨンジュが「おお、ピーター・・・!」とつぶやきました。何とピーターの目に涙が・・・。

◆アート・ジャーナリストのインタビュー!
この日、ピーター・ミジョン・私の3人は、「バーミンガム・プレス」のアート・ジャーナリストのインタビューを受けました。ピーターの涙は、3人の最初の出会いから、2年にわたる創作活動に思いを巡らせたせいかも知れません。私達の、たぐい稀なほど深い信頼に結ばれた共同の作業も、いよいよ英国初演を迎え、7月のソウル・東京初演から8月の沖縄へと、最後の仕上げの時期。明日もたゆまず前進!です。

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Toyoko,NISHIDA


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※「ヨーグルトをさがせ!」特設ページも、現在作成中です。

2009年5月12日火曜日

「ヨーグルトをさがせ!」いよいよ5月15日イギリス初演!

日英韓共同制作「ヨーグルトをさがせ!~Looking For Yoghurt〜」は、4月の韓国・ソウルリハーサルを経て、ただ今英国バーミンガムレパートリーシアター(愛称REP)にて総仕上げの段階に突入。いよいよ今週末5月15日(金)には 、”THE DOOR” で初演の幕を開けます。劇作家として参加している西田豊子の、バーミンガムレポートをお届けします。

◆バックドロップ完成!
私がロンドン経由で稽古場に合流したのは5月6日。客席数150程の、REPの小劇場スペース“The Door” に足を踏み入れたとたん、舞台一杯に吊られた3枚のバックドロップ(背景幕)に目を奪われました。美術デザイナーは韓国の若手女性美術家パク・スヨンさん。彼女は、韓国の伝統文様をモチーフに、「ヨーグルトを探せ!」の舞台設定である「世界のどこかの大都会」の、無機質な美しさを表現しようと、自ら手縫いでこの幕を製作しました。

◆マドモワゼル・アイリーン登場!
5月5日にスタートしたリハーサルでは、新たに振り付けのアイリーン・ディビットさんを迎え、劇中最大の見せ場「ブラジル」シーン始め、フィジカル(身体的)な表現がダイナミックに、そして美しくシェイプアップされました。アイリーンは、フランス出身でロンドンを拠点に活動。ソウルリハーサルでの成果やキャラクターの個性を元に、時には大胆・時には繊細な動きを、俳優達と共に創りだして行きました。俳優達もスタッフも、彼女のフランス語風アクセントの柔らかい話し声と青い瞳のファンに。彼女は仕上げのリハーサルにも再び登場の予定です。

◆今週はランスルー週!
先週末の土曜日、ソウル以来初めランスルー(通し稽古)を見ました。ソウルで大胆に手を入れた場面や新たな振り付け場面も含めて、各シーンがダイナミックに展開し、作品全体の骨格が力強く立ち上がってきていると感じました。

わがAsibinaの叶雄大くんも、REPの芸術監督に「天才!」と言われた身体技と遊び心溢れる創造性で作品全体の牽引車の役割を果たしています。

今日月曜からはテクニカル面を含めながら1日二回のランスルー体制。細かな部分まできっちり詰めながら、初日へ向け良き緊張感が高まっています。

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Toyoko,NISHIDA


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2009年5月3日日曜日

「ヨーグルトをさがせ!」プレビュー公演in韓国ソウル


日本・イギリス・韓国共同制作プロジェクト「ヨーグルトをさがせ!~Looking for Yoghurt~」4月29日に韓国ソウル市内の子どもたちを対象に、プレビュー公演を行いました!
衣裳も完成して、作品の形も完成に近づきつつある中、さらなる作品の向上を目指し、子どたちの反応と意見を貰います。


今回のプレビュー公演には、ミュージシャンの開発彩子(日本)さんも参加して、作品に音楽を加えました。写真の楽器はジャンベですが、他にも世界中のさまざまな楽器が登場します。

そして5月、イギリス バーミンガムでの世界初演へ向けて、メンバーは韓国からイギリスへと旅立ちました。イギリスでも、創作リハーサルや子どもたちへのプレビュー公演を行い、観客の反応を確かめながら大詰めリハーサルを行います。


プレビュー公演が終了した後、俳優・ミュージシャン・演出家と子どもたちで、作品のディスカッションを行っている様子です。


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ピーター・ウィルソン(イギリス/脚本・演出)による作品ブログはコチラ→http://hanyongtheatre.blogspot.com/(英語のみ)


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Tatsuo,SHIROTA

2009年5月1日金曜日

「紙のおとぎばなし」特設ページ!公開!

アートインAsibina演劇作品「紙のおとぎばなし」特設ページを公開しました!
公演情報!作品の紹介!稽古場速報!ニュースなど、情報満載の内容です。現在、作成中のページもありますが、近日中にアップいたしますのでしばらくお待ち下さい。

2009年夏!バージョンアップ再演は、東京都内2箇所にて合計4ステージ上演します。皆さま、ぜひ新しくなった「紙のおとぎばなし」へお越し下さい!

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◆プーク人形劇場公演
7月25日(土)14:00/19:00 26日(日)15:00
【会場】プーク人形劇場
各線「新宿」駅南口下車徒歩7分
アートインAsibina主催/平成21年度 文化庁芸術創造活動特別推進事業

◆出会いのフォーラム2009参加公演
7月29日(水)14:00
【会場】国立オリンピック記念青少年総合センター リハーサル室
小田急小田原線「参宮橋」駅より徒歩7分
子どもと舞台芸術ー出会いのフォーラム2009参加公演

◆チケット料金(共通)2,000円
※出会いのフォーラム2009公演のみ、出会いのフォーラム2009実行委員会の発行する“フォーラムパス”をご購入頂いても観劇頂けます。詳細は、同委員会までお問い合わせください。URL.http://www.kodomotobutai.net/

◆チケットのお申し込み
チケット申し込みフォーム/または、お電話03-5338-7929(アートインAsibina)にてお申込み下さい。

◆お問い合せ
NPO法人アートインAsibina
TEl.03-5338-7929/お問い合わせメールフォーム
URL.http://www.asibina.com
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アートインAsibinaでは、この夏、「紙のおとぎばなし」公演のみでなく、プロデュース作品とし、日本・イギリス・韓国による国際共同制作演劇作品「ヨーグルトをさがせ!~Looking for Yoghurt~」公演も行います。コチラの作品特設ページも現在作成中です!!


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Tatsuo,SHIROTA